Youが「あなた」では誤訳!? 主語を自然に訳すための3つのテクニック

受験英語の英文和訳では、youを「あなた」と訳して減点されることはありません。しかし、英日翻訳の世界では、「あなた」では誤訳、あるいは修正対象とみなされてしまいます。

 

自然な日本語の文章になるように訳すには、どんなことに気を付ければよいでしょうか?

 

私が実践している3つのテクニックを紹介したいと思います!

 

まずは、日本語では主語がなくても成り立つと認識する!

 

ビジネス文書を訳していると、Youが主語で始まる英文にたくさん遭遇します。

 

例えば製品マニュアルの場合、

You will be asked for your password, and then…

といった場合です。

 

語彙力が十分にあり、語彙の取り違えがあまりない方の訳文をレビューしても、

「あなたはパスワードを求められるでしょう。そうすれば・・・」

「あなた方はパスワードを求められるのですが、その際・・・」

というふうに訳しているケースが意外と多いことに気付きました。

 

しかし、日本の製品のマニュアルを何か想像してみてください。

 

主語はなく、指示文の口調で簡潔に書かれていることが多いはずです。

 

「パスワードを求められた場合は、」

としたほうが、日本語として自然で、かつ文字数も減ってスッキリしますね。

 

このように、翻訳では

Youを「あなた」や「あなた方」と訳すことはありません。

 

文脈によっては「皆様」「お客様」などは有りです。

日本語でも、広告で「貴方(あなた)」のように演出の一環で使うことがありますが、

わざわざ、「あなた」と訳すのはこういった広告文を訳すときぐらいです。

 

ただ、一般的には主語を省略して指示文の文体とするか、

多くの人がそうであるという意味合いで、「~れる、られる」で結ぶことが多いです。

 

無生物主語は、目的語を主語にして意訳が基本!

 

無生物主語の文は、目的語を主語にすると意訳できる――、

この原則は学校でも習ったと思います。

実は、このテクニック、翻訳でも積極的に使ったほうがいいんです!

 

一つ例文を見てみましょう。

 

One of the biggest earthquakes in history caused a terrible destruction in the northeast part of the country.

 

直訳をすると、

「歴史上最も大きな地震のひとつは、同国の北東部に甚大な破壊をもたらしました。」

のようになりますね。

 

これを意訳すると、

「甚大な破壊が、歴史上最も大きな地震のひとつによって同国の北東部にもたらされました。」

 

あれ?

意訳したはずが、余計に不自然な日本語になってしまいましたね。

受験英語では、これでももちろん正解ですが、

翻訳の世界では、さらに推敲する必要があります。

 

修正点としては、

・語順を自然な日本語になるように入れ替える

・自然な述語(動詞)に言い換える

という2点に留意しましょう。

 

では自然な述語(動詞)はどう選ぶかと言えば、私はGoogleに主題を入力して調べます。今回で言うと、「震災」をキーワードにして調べるといった具合です。

 

すると、

「震災で被害が発生・・・」といったニュースが多数ヒットしました。

 

そこで、推敲後の文は、

「歴史上最も大きな地震のひとつによって、同国の北東部に甚大な被害が発生しました。」

としています。

 

 

さて、主なテクニックを紹介してきましたが、

最近の訳文評価の経験から、

皆さんにぜひ覚えてほしいテクニックをさらに紹介したいと思います!

 

主語じゃないところに、取り立ての「は」をうまく使う

 

日本語には「取り立て」という用法の「は」があります。

強調して言いたい語句につける助詞なんですね。

 

「へびは怖い」というときに、主語はへびではなく、「私」が省略されていますね。

このときの「は」が、強調するためにつけられた、取り立ての「は」というわけです。

 

取り立ての「は」をうまく使うこと。

それが、主語を省略した文で使うと良いテクニックです。

 

またビジネス文書を見てみましょう。

Our annual sales figure dropped this year, so we were made to reduce sales expenses.

 

先ほど、youを「あなた」と訳さないテクニックを紹介しましたが、

weも「我々」とわざわざ訳さないで省略したほうが自然な日本文にすることができます。

 

そこで、「我々は」を削除する代わりに、

強調したいsales expensesに、主語ではないけれど取り立ての「は」を使ってみます。

 

「今年は年間売上高が減少したため、販売経費は削減させられました。」

 

こうすれば、販売経費に読者の注意を向けることができますね。

 

まとめ

 

まずは、日本語では主語がなくても成り立つと認識する

無生物主語は、目的語を主語にして意訳が基本

主語じゃないところに、取り立ての「は」をうまく使う

 

この流れが私のおすすめです!

これで、受験英語からステップアップして、一段こなれた日本文が書けるはずですよ。

 

最近は機械翻訳ツールも増えてきましたが、

機械翻訳では「あなた」や「我々」がまだまだ頻繁に出現する傾向にあります。

 

自然な和訳を求めて人力翻訳を依頼してくるクライアントに対しては、

主語をうまく訳すことで評価アップにつながるはずですよ!

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