TOEICを受けようと思っている人はもちろん、翻訳のトライアルに挑戦したいと思っている人にとって、語彙を増やすことは課題の1つではないでしょうか?
翻訳者にとっての単語の覚え方は、ボキャブラリー自体は大学受験やTOEICと同じでも、習得方法に工夫が必要です。今回は、そんな覚え方のコツをご紹介します。
受験用の単語集で、新たに意味調べをすると発見が多い
翻訳者用の単語本って、書店でもあまり見かけないですよね。
そこで私は、本棚に眠っていた、難関大学~留学準備用(12000語レベル)という単語集をまた使うことにしました。
受験時代は、1語1語精読するというより、「大意をとらえる」「推測する」ことに重点を置いていたため、改めて掲載語句を確認すると勉強になっています。
ただし、受験時代にふれていた長文問題と、ビジネス文書では、同じ単語が使われていても意味・訳し方が違うので調べなおしたほうがいいと実感しています。
例えば、dedicatedという単語なら
- 受験長文:a dedicated nurse(献身的な看護師)のように「献身的な」と訳されることが多い
- ビジネス:a dedicated development team(専門の開発チーム)のように、「専門/専任」と訳されることが多い
という特徴があるため、受験時代に覚えていたからと安心していると誤訳を招いてしまいます。
ほかにも、framework(受験英語:建築などの枠組み、ビジネス:フレームワーク)、address(受験英語:住所、ビジネス:課題に対処する)などの違いがあります。
知っているべき語彙には大きな違いはないものの、誤訳を防ぐためにも、調べ直し、覚え直しをするのがおすすめです。
知らない単語は、画像検索してみよう
ふだん英語を使う・学ぶ習慣を維持していれば、受験英語の大半は忘れていないものです。
そうは言っても、受験レベルの単語のはずが、習った覚えがなかったり、度忘れしてしまったりしているものです。
例えば、私が覚えていなかったのはridgeという単語です。
受験英語では「尾根、山の稜線」で暗記するように書かれていましたが、実務では違う用法だろうと想像し、ridgeをwebで画像検索してみたところ、
- 髪型(ウェーブの山型の部分)
- スノーボード(山型にカーブした部分)
などがヒットしました。
さらに、半導体の説明文にもridgeが使われることが分かったので、これも画像検索してみると、半導体の「リッジ構造」の図解も確認することができました。
スペルと辞書的な意味を丸暗記しただけでは実務には不十分で、文書に登場するたびに用例検索をする必要が出てきます。
普段の単語学習で、実物をイメージできる形で学習しておくと、実際の文書中に遭遇した際も手がかりがつかみやすくなるはずです。
同じジャンルの単語を連想して書き出そう
受験英語とビジネス用語では、同じ単語でも使われるシーンが違うため、単語集が分野別に章立てされていたとしても、必ずしも実務の観点と一致しているとは限りません。
例えば、treasuryという単語は、受験の時は「宝物」と暗記することが多いですが、
実務では、Department of the Treasury「アメリカ財務省」のように、省庁の名称の中で使われることが多いものです。
そうすると、treasuryを覚えるついでに、日本の省庁の名前も連想されるので、
- Ministry of Finance(財務省)
- Ministry of Economy, Trade and Industry(経済産業省)
などを一緒に書き出して、正確に暗記することにつながるのです。
まとめ
英単語を覚える際には、実務文書での使われ方チェックを忘れないようにしましょう。
- 受験英単語が、ビジネスではどう使われるか新たに意味調べをする
- 知らない単語は、画像検索して実物をイメージする
- 同じジャンルの単語を連想して書き出す
この流れが私のおすすめです!
新しい年に何か勉強を始めたいと思っている方は、持っている参考書を有効活用して、翻訳者流の勉強法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。