Don’t you~?などで始まる否定疑問文は、答え方が紛らわしいですよね。受験英語では「日本語のはい、いいえとは逆になる」と機械的に覚えた人も多いかもしれません。ただし、翻訳の場合は、その知識だけでは通用しないパターンもあります。今回は否定疑問文の疑問をスッキリ解消しましょう。
クイズ!はいかいいえか
まずは、一般的なホテルのFAQ(よくある質問集)を題材に、
赤字部分が肯定か否定かを考えましょう。
さらに、赤字部分が日本語では「はい」なのか「いいえ」なのかを正しく使い分けながら訳しましょう。
(1)
Q.Don’t you accept cash payment in the hotel?
A.No, you can pay using a credit or debit card. Our hotel group will also accept prepaid cards.
(2)
Q.Am I NOT allowed to smoke inside the hotel?
A.Yes, we still allow smoking. However, smoking is not permitted, except in the designated smoking areas.
(3)
Q.Is it correct that children are not allowed in this hotel?
A.Yes, we indeed do not accept reservations with children in the hotel.
(4)
Q.No outside food or drink allowed in the hotel?
A.No, outside food and beverage items (except bottled water and baby food) are prohibited.
答えをチェック
(1)
このNoは否定です。cash payment(現金でのお支払い)はできません。
質問文では「現金のお支払いは受け付けていただけませんか?」と否定疑問文で聞いているため、回答の訳は「はい」となります。
(2)
このYesは肯定です。smoking(喫煙)は認められています。
質問文では「喫煙は認められていませんか?」と否定疑問文で聞いているため、回答の訳は「いいえ(従来通り認めております)」となります。
(3)
このYesは肯定です。children are not allowed(子供は許可されていない)ことを正しいと肯定しています。
質問文は「子供は許可されていないというのは正しいですか?」と聞いているため否定疑問文ではありません。
そこで、回答の訳は「はい(=その通りです)」となります。
これを否定疑問文(Aren’t children allowed~?=子供は本当に許可されていないのですか)だと思い込んでしまうと、回答のYesをchildren are allowedを肯定すると解釈して、「いいえ」と誤訳してしまう可能性があるのです。
(4)
このNoは否定です。outside food and beverage items(ホテルの外で購入した飲食物)は持ち込めません。
質問文はNoで始まっているため「ホテル内には、外で購入した飲食物は持ち込めませんか?」と否定疑問文になっているのです。回答の訳は「はい」となります。
法則に気付きましたか?
質問文が否定疑問文であってもそうでなくても、
英文では、対象を肯定するなら「Yes」、否定するなら「No」を使っているということです。
いったん質問文と回答を切り離して考えると混乱しにくくなります。
Is it correct~?の節が否定文になっている場合は、否定疑問文と紛らわしいですが、
「~ではないということが正しいか」どうか聞いているため、
~ではないということが正しければ「Yes=はい」、正しくなければ「No=いいえ」。
日本語と英語の「はい」「いいえ」が一致していることがポイントです。
否定疑問文と混同すると、誤訳してしまうので注意しましょう。
まとめ
文中に否定疑問文が登場した場合の考え方は、
- 英文では、対象を肯定するなら「Yes」、否定するなら「No」になっている
- いったん質問文と回答を切り離して考える
- Is it correct~?の節が否定文になっていても否定疑問文と混同しないこと
この流れが私のおすすめです!
受験で習った文法を忘れてしまっていて、自信を持って訳せないというケースがよくあります。受験英語の復習は大切です。ただし、受験時代のようにテクニックを丸暗記するのではなく、なぜそうなるのかを理解することが翻訳のスキルアップにつながります。