「以上、超、以下、未満」の英語表現には、受験英語で習う以外にもさまざまなバリエーションがあります。よく習っていないからと言ってあいまいな日本語訳を書いてしまうと、納品後に訂正されるだけでなく、もしクライアントが見てしまうと信頼を大きくダウンしかねません。今回はそんな数量表現をしっかりと覚えましょう。
クイズ!その数含みますか?
まずは、一般的な航空会社の料金案内の説明文を題材に、
赤字部分がそれぞれの数を含むか含まないかを考えましょう。
さらに、赤字部分を「以上」か「超」、「以下」か「未満」を正しく使い分けながら訳しましょう。
- The total weight of check-in baggage must not exceed 15kg.
- You can carry 1 piece of hand luggage of up to 5kg for free.
- Each passenger is allowed to bring a piece of luggage as carry-on as long as each item is within 55cm x 40cm x 20cm.
- A passenger is allowed to carry on-board a maximum of two pieces of baggage.
- We had announced new baggage rules, allowing only one check-in baggage weighing 15 kg or less.
- If your bag weighs more than 15kg, you will have to pay an extra fee for overweight.
- Fees per kilo of baggage above 15kg checked in at airport check-in are as follows.
- In 2nd bag: Baggage less than 23kg will be charged USD $40.
- Baggage between 23kg and 32kg will be charged USD $80 per bag.
- Additional bag no more than 45 kg: USD 100
答えをチェック
- must not exceedは、超えてはならないという意味。
「超えるとNG」なのだから、ちょうど15kgは認められます。したがって「15kg以下でなければならない」が正解。
- up toは上限を示す。 「5kgが上限」なのだから、ちょうど5kgは認められます。したがって「5kg以下は無料」が正解。
- withinは上限を示す。 「55cm x 40cm x 20cmが上限」なのだから、この長さピッタリは認められます。したがって「55cm x 40cm x 20cm以下でなければならない」が正解。
- maximumは上限を示す。 「2個が上限」なのだから、ちょうど2個は認められます。したがって「2個以下」が正解。
- ~or lessは「以下」の意味。
「15kg以下」が正解。ちょうど15kgは認められます。
- more thanは、~より大きいという意味。
more thanの対象には、ちょうど15kgは含まれません。したがって、15kg以上とすると間違いです。「15kg超の場合」が正解。
- aboveは、~より大きいという意味。
aboveやoverの対象には、ちょうど15kgは含まれません。したがって、15kg以上とすると間違いです。「15kg超の」が正解。
- less thanは「未満」の意味。 less thanの対象には、ちょうど23kgは含まれません。したがって、23kg以下とすると間違いです。「23kg未満の」が正解。
- betweenは「以上~未満」の範囲。 betweenの対象には、下限の23kgは含みます。一方、ちょうど32kgは含まれません。したがって、「23kg以上32kg未満」が正解。
- no more thanは、~よりも多くないという意味。
受験英語でおなじみno more thanですが、実務翻訳で扱う場合は「たかが~」や「~しかない」のような文学調に訳す必要はありません。no more thanは、「45kgより大きいのはNG」という意味なので、ちょうど45kgは含まれます。実はこの場合、「45kg以下の追加荷物」が正解なのです。
まとめ
文中に数量表現が登場した場合の考え方は、
- 学校で習うmoreやlessだけではないので、数量表現に気付くことが大切
- 対象の数を含むのか含まないのかは重要な情報
- 含む場合は「以上」「以下」、含まない場合は「超」「未満」で簡潔に書く
この流れが私のおすすめです!
「まで」や「間」など、あいまいな表現で訳していた方は、これを実践すればトライアルの通過率もアップするはずです。ぜひ実践してみてください。