東京ドーム(Tokyo Dome)から歩いて行ける戦争遺産8選

「にほんごサンデー」講師が、国際理解や平和について理解を深める日帰り散歩をナビゲートします。

今回は、東京の戦争遺跡を歩く会の平和ガイド、長谷川 順一さんのご案内のもと、文京シビックセンターを出発し、飯田橋駅までのフィールドツアーを体験して来ました。

 

後楽園エリアにある戦争遺産

東京メトロ丸ノ内線、南北線の後楽園駅を降りると、目の前に文京シビックセンター、東京ドームといったにぎやかな街並みが広がります。

こんな駅前から徒歩3分のところにあるのが、東京都戦没者霊苑です。

 

戦争遺産①東京都戦没者霊苑

東京都戦没者霊苑は、戦没者を悼む鎮魂の碑や展示室などがある東京都の施設です。

墓地ではありませんが、戦没者の遺族が多くの遺品を寄贈しており、平和について学びたい多くの人が見学に訪れています。

上の写真は「千人針」と呼ばれる戦時中のお守りです。
たくさんの女性が腹巻の布に赤い糸で1針ずつ縫って1000個の結び目をつくり、弾丸よけになるようにと願って出征する兵士に贈った布です。

ほかにも、軍服や万年筆などの持ち物、兵士の遺書なども展示してあり、戦死者の名前も添えられているため、それぞれの品に物語が感じられます。

 

「この世界の片隅で」のように、戦時中に生きた普通の人たちの生い立ちが感じ取れる展示でした。

 

戦争遺産②諸工伝習所跡記念碑

東京都戦没者霊苑がある場所は、戦時中、射撃練習場があった所です。

その名残を今に伝える記念碑と、立ち入りはできませんが射撃場跡も残っています。
戦後も一時期、ライフル協会が練習場として使っていたそうです。

戦争遺産③砲兵工廠跡の基礎用レンガ

東京ドームホテルのそば、遊園地のジェットコースターの歓声も聞こえるにぎわいの中、ひっそりと眠る戦争遺産がこちらです。

 

東京ドームホテルが建っている場所のあたりは、戦時中、兵器をつくる工場が立ち並んでいた場所です。空襲で狙い撃ちされ、多くの住民が犠牲になった歴史もあります。

 

さらに歴史をさかのぼると、このあたりは水戸徳川家があった場所。徳川御三家があった場所は、水戸徳川家は工廠(軍隊直属の軍需品工場)に、尾張徳川家は陸軍士官学校に、紀州徳川家は青山御所と青山練兵場になっていたのでした。
そんな歴史を物語ってくれるモニュメントは、現代の私たちを見守ってくれているようでした。

 

戦争遺産④戦没野球人モニュメント

東京ドームの一角に、戦没野球人の名前が刻まれた「鎮魂の碑」が建てられています。

プロ野球選手や、学生・社会人野球で活躍していた有名選手も、例外なく徴兵され、戦場に散っていきました。
そんな歴史を物語る、球場ならではのモニュメントです。

 

戦争遺産⑤後楽園庭園の石碑

後楽園庭園の中にも、実は記念碑が建てられています。

庭園の中には何に使ったのか分からないような戦時中の遺物がひっそりと残されているそうです。

飯田橋エリアにある戦争遺産

後楽園の工廠で作られた兵器は、今の飯田橋エリアから陸路、水路で輸送されていきました。

ちなみに「飯田橋」という地名になったのは昭和41年からで、その前は「飯田町」と呼ばれていたそうです。

 

戦争遺産⑥小石川門跡

江戸城見附跡の小石川門跡が、こちらです。

戦時中は、目の前に広がる神田川・日本橋川から武器が水路で運ばれていったそうです。

 

戦争遺産⑦ハーコート社製鉄橋

ドイツの鉄鋼・橋梁メーカー「ハーコート(Harkort)」が1904年に製造し、日本で組み立てられた鉄橋が、なんと現在も現役で使われています。

日露戦争の頃につくられた物が、今でもビクともしないとは驚きですね。

 

戦争遺産⑧甲武鉄道飯田町駅跡

明治22年(1889年)、新宿~八王子間に甲武鉄道が開業し、武器を運ぶ必要性から急ピッチで路線を伸ばしていきました。

甲武鉄道は後に国営化され、今はJR総武線になっています。

 

飯田町駅があった場所は再開発され、アイガーデンテラス、ホテルメトロポリタン エドモントなどが立ち並ぶおしゃれなエリアに生まれ変わりました。

今はモニュメントを残すだけですが、当時、線路が敷かれていた通りに道路を残しているなど、粋な計らいもされているということです。

まとめ

後楽園エリアの東京都戦没者霊苑、諸工伝習所跡記念碑、砲兵工廠跡の基礎用レンガ、戦没野球人モニュメント、後楽園庭園の石碑。

飯田橋エリアにある小石川門跡、ハーコート社製鉄橋、甲武鉄道飯田町駅跡。

以上8カ所の歴史散歩で、所要時間は2時間ほどでした。

 

負の遺産から歴史の教訓を学ぶ「ダークツーリズム」が学生・若者の間でも盛んに行われるようになっています。

留学生と一緒に見て回ると、他の国の人が戦争をどう教えられてきたのか、戦跡を見てどう思ったか、話し合う機会になるかもしれませんね。

東京の戦争遺跡を歩く会のツアー情報は、東京新聞でのお知らせ、および長谷川さんのブログで紹介されています。
ブログ「葵から菊へ」はこちら

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