2019年の干支（えと）はイノシシ。動物園や、かわいいぬいぐるみでも人気のイノシシですが、昔の日本では貴重（きちょう）な栄養源（えいようげん）として食べられていたのです。今回は、イノシシについての日本の歴史を話してみましょう。
日本語と英語で、よんでみよう！
日本にあるジビエレストランって知ってる？ジビエってフランス語が語源（ごげん）なんだけど、「野生の獲物（えもの）」っていう意味なんだよ。
Do you know Gibier restaurants in Japan? The word is derived from the French “gibier” and means “wild game”.
イノシシやシカ、ウサギ、クマなどの料理が出されるよ。縄文（じょうもん）時代（新石器時代）と同じ獲物だ。イノシシは昔、山鯨（やまくじら）とも呼ばれていたよ。
They serve wild boars, deer, hares and bears same as the Jomon period, New Stone Age. Wild boar has in the past been known as Yama Kujira, or mountain whale.
山あいでは、イノシシの肉を土鍋（どなべ）で煮た「ぼたん鍋」も、冬の季節料理として長年食されて（しょくされて）きたよ。
In mountainous regions, “botan nabe,” wild boar meat cooked in a cray pot, has long been enjoyed as a seasonal dish in winter.
イノシシが飼い慣らされてブタになったとは言え、日本の祭礼（さいれい）には野生のイノシシが欠かせないよ。猪追い（ししおい）をしたり、猪料理を作ったり。これには神様への捧げ物（ささげもの）という役割があるんだよ。
Even if pigs were domesticated from wild boars, they are still celebrated in Japan with boar races and boar cuisine as sacrificial tributes to the gods.
もっとくわしく！
狩猟で暮らしていた縄文時代から、イノシシは狩りの対象として身近な動物でした。焼く、あぶる、煮るなどして食べられていたと言われています。
538年に仏教が伝来すると、仏教では動物の殺生が禁じられているため、奈良時代、平安時代と肉食が禁じられるようになりました。ただし、教義を知らない庶民の間では肉食禁止の意図が伝わらず、イノシシなどの肉食が続いていたようです。
肉食禁止のピークは、江戸時代に生き物を大事にするように定めた「生類憐れみの令」が出されたことで有名な、17世紀後半ごろのことです。表だって肉を食べることができなかったので、人々はイノシシの肉のことを隠語で呼んでいました。
クジラは魚だと思われていたので、山のクジラなら魚だから食べてよい、と解釈して「山鯨」と呼んだり、お皿に盛った肉の形がぼたんの花に似ていることから「ぼたん」と呼んだりして、食べ続けていたのです。
一方、日本ではイノシシは信仰とも結びついていました。神様に奉納される動物であり、イノシシ自身が神様の使いと呼ばれることもありました。
アニメ「もののけ姫」にも登場していたのを覚えていらっしゃいますか？「乙事主（おつことぬし」という猪神でした。白い巨体に二対四本の牙、目は見えないが嗅覚などの感知能力に優れ、神性を感じさせる存在でした。
実際に古事記では、イノシシが神の使いとして最初に登場する動物になっています。滋賀県の伊吹山山頂には、現在も白いイノシシ（白猪）が祀られ、日本武尊像があります。
イノシシのこと、少し詳しくなれましたか？今回紹介した会話文を参考に、英語と日本語でまわりに話してみましょう。
